「お会いできるのを楽しみにしています」という言葉は、ビジネスでもプライベートでもよく使われますが、「これって敬語として正しいのかな?」と迷うことも多いですよね。
実はこの表現、謙譲語と丁寧語が組み合わさった上品な敬語で、使い方を少し変えるだけで印象が大きく変わります。
この記事では、「お会いできるのを楽しみにしています」の正しい意味から、ビジネス・電話・年賀状などの場面別表現、さらに「お目にかかる」「心待ちにしております」などの丁寧な言い換えまで、分かりやすくまとめました。
もう「どんな言葉を選べばいいのか」で迷わないように、シーン別の文例もたっぷり紹介します。
お会いできるのを楽しみに——基本の意味と使い方
「お会いできるのを楽しみにしています」という言葉は、ビジネスや社交の場で非常によく使われる表現です。
一見シンプルなフレーズですが、相手への敬意や距離感を表す大切な言葉でもあります。
まずは、その意味と使う場面について整理しておきましょう。
「お会いできるのを楽しみに」とはどんな意味?
「お会いできるのを楽しみにしています」とは、直訳すると「あなたに会うことを心待ちにしています」という意味になります。
つまり、相手との再会や面会を前向きな気持ちで待っているという、非常にポジティブな表現です。
この言葉は、単に予定を確認するだけでなく、相手への親しみや感謝を伝える役割も持っています。
表現 | 意味 |
---|---|
お会いできるのを楽しみにしています | 再会・面会を心待ちにしている丁寧表現 |
お会いできることを嬉しく思います | よりフォーマルな言い換え |
お目にかかれることを楽しみにしております | 謙譲表現を強めた丁寧語 |
どんな場面で使うのが適切?(ビジネス・社交・日常)
この表現は、さまざまなシーンで使うことができます。
たとえば、商談のアポイントメール、社内の面談調整、または友人との久しぶりの再会など。
ただし、相手との関係性や場面のフォーマル度に応じて使い分けることが大切です。
場面 | 適切な言い回し |
---|---|
ビジネスメール | お会いできるのを楽しみにしております。 |
社交・趣味の集まり | お会いできるのを楽しみにしています。 |
カジュアルな会話 | 会えるの楽しみにしてるね。 |
このように、同じ意味でも文体を少し変えるだけで、印象は大きく変わります。
ポイントは「相手との距離感を意識してトーンを調整すること」です。
「お会いできるのを楽しみに」は敬語?
ここでは、「お会いできるのを楽しみにしています」という表現が敬語として正しいのか、そしてその成り立ちを詳しく見ていきます。
一見シンプルな文ですが、実は「謙譲語」と「丁寧語」が組み合わさった複合敬語なのです。
「会う」の謙譲語とは?——「お会いする」「お目にかかる」の違い
「会う」は、相手に対して自分が行動する言葉です。
そのため、相手を立てる場合には「お会いする」という謙譲語を使います。
さらにフォーマルな場面では、「お目にかかる」という表現が好まれます。
表現 | 種類 | フォーマル度 |
---|---|---|
お会いする | 謙譲語 | 中程度(一般的なビジネス会話) |
お会いできる | 謙譲語+可能表現 | 柔らかく丁寧 |
お目にかかる | 謙譲語 | やや堅い(目上の方や式典など) |
お目にかかれる | 謙譲語+可能表現 | 最も丁寧 |
「お会いできる」は、相手を立てつつ柔らかい印象を与える万能表現です。
相手が上司・取引先・来客などの場合に最も使いやすい言葉といえるでしょう。
「できる」の丁寧語で柔らかくなる理由
「お会いする」だけでも敬語ですが、「お会いできる」とすると、そこに「可能の助動詞」が入り、ニュアンスが変わります。
これは、「あなたと会えることを嬉しく思います」という相手中心の気遣いを表現できるためです。
つまり、「お会いできる」という形にすることで、直接的な表現を避けながらも、丁寧で温かい印象を与えられるのです。
文型 | 印象 |
---|---|
お会いするのを楽しみにしています | やや直接的・シンプル |
お会いできるのを楽しみにしております | 柔らかく丁寧・ビジネス向き |
お目にかかれるのを楽しみにしております | よりフォーマルで儀礼的 |
「できる」を加えるだけで、相手への敬意と距離感を自然に表現できるというのが、この表現の魅力です。
「お会いできるのを楽しみに」の言い換え・バリエーション一覧
同じ「お会いできるのを楽しみにしています」でも、少し言葉を変えるだけで印象が柔らかくなったり、より丁寧に聞こえたりします。
ここでは、文末表現や語彙の組み合わせを変えることで生まれるバリエーションをまとめました。
「お会いする日を楽しみにしています」などの自然な表現
まずは、最も使いやすく自然な言い換えから見ていきましょう。
「日」「機会」「こと」など、名詞を変えるだけで表現のトーンが少しずつ変化します。
言い換え | 印象・使いどころ |
---|---|
お会いする日を楽しみにしています | ややカジュアル。社内・親しい取引先向け。 |
お会いする機会を楽しみにしております | フォーマルで丁寧。公式メール向け。 |
お会いできることを楽しみにしております | 最も汎用的。ビジネス全般に使える。 |
お会いできますことを楽しみにしております | より丁寧で、社長宛て・来賓宛てなどに最適。 |
ポイントは、「どんな場面で」「どんな関係性の相手に」伝えるかで選ぶことです。
「お目にかかれることを楽しみにしております」などの丁寧表現
よりかしこまった言い方をしたいときには、「お目にかかる」を使うとよいでしょう。
これは、「会う」の謙譲語の中でも特に格式の高い言葉です。
言い換え | フォーマル度 |
---|---|
お目にかかるのを楽しみにしております | 高め(目上の方・式典向け) |
お目にかかれることを楽しみにしております | 最上級の丁寧表現 |
この2つは、ビジネス文書やお礼状など、フォーマルな文面に適した言葉です。
ただし、日常メールやチャットではやや堅く感じられるため、文脈に応じて使い分けるのがポイントです。
「楽しみにしています」以外の言い換え(心待ちにしております など)
「楽しみにしています」は定番ですが、繰り返し使うと単調な印象になります。
そんなときは、以下のような表現でニュアンスを変えるのもおすすめです。
表現 | 意味・印象 |
---|---|
心待ちにしております | 控えめで上品な表現。社交文書に最適。 |
お目にかかれる日を指折り数えております | 少し文学的で温かみのある言い回し。 |
再びお会いできる日を心よりお待ちしております | 別れ際の挨拶やお礼メールに最適。 |
これらの表現を上手に使い分けることで、文章全体に「品」と「気遣い」が加わります。
場面別の使い分け(メール・電話・年賀状・暑中見舞い)
次に、実際に使う場面ごとに「お会いできるのを楽しみにしています」の使い方を見ていきましょう。
シーンによって、文章の長さやトーンを調整するのがポイントです。
ビジネスメールでの例文
ビジネスメールでは、丁寧かつ簡潔な表現が基本です。
文末の締めくくりとして使うと、相手に良い印象を与えます。
例文 | 使用シーン |
---|---|
当日お会いできますことを楽しみにしております。 | 面談・商談などの事前メール。 |
貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございます。お目にかかれることを楽しみにしております。 | 訪問依頼や日程調整メール。 |
電話口での言い回し例
電話では、文章よりも自然な会話調を意識します。
長く話すより、短く丁寧に伝えるのがコツです。
例 | ポイント |
---|---|
それでは、当日お会いできるのを楽しみにしております。 | 基本の言い方。どの相手にも使える。 |
はい、ありがとうございます。お目にかかれることを心より楽しみにしております。 | 来客や社外の方への対応時。 |
年賀状・暑中見舞いでの文例
挨拶状では、季節のあいさつと組み合わせて自然に使います。
文語調にすることで、より品のある印象になります。
文例 | 使うタイミング |
---|---|
本年も変わらぬお付き合いのほど、何卒よろしくお願い申し上げます。お会いできます日を心より楽しみにしております。 | 年賀状 |
暑さ厳しき折、どうぞご自愛くださいませ。次にお目にかかれます日を心待ちにしております。 | 暑中見舞い |
紙の挨拶文では、少し長めの言い回しでも違和感がありません。
丁寧でやわらかい語感の表現を意識することが大切です。
「お会いできるのを楽しみに」の注意点とマナー
どんなに丁寧な言葉でも、使い方を誤ると相手に違和感を与えることがあります。
ここでは、「お会いできるのを楽しみにしています」を使うときの注意点と、マナー面で気をつけたいポイントをまとめます。
使いすぎ・文末の重複に注意
ビジネスメールの締めくくりでは「よろしくお願いいたします」と並んで使われることが多い表現です。
そのため、同じメール内で何度も使うと、ややしつこい印象になります。
NG例 | 改善例 |
---|---|
当日はよろしくお願いいたします。お会いできるのを楽しみにしております。 | 当日はよろしくお願いいたします。お目にかかれるのを心より楽しみにしております。 |
今後ともよろしくお願いいたします。お会いできるのを楽しみにしております。 | 今後とも変わらぬお付き合いのほどお願い申し上げます。 |
つまり、同じフレーズを繰り返さない工夫が、自然で品のある印象を作ります。
ビジネスで避けたいカジュアル表現
仲の良い同僚や友人には「会えるの楽しみ〜」でも問題ありませんが、ビジネスシーンでは避けた方がよい表現です。
特に、社外メールや上司宛ての連絡では、敬意を損なわない言い回しを選びましょう。
避けたい表現 | 推奨表現 |
---|---|
会えるの楽しみにしてます! | お会いできるのを楽しみにしております。 |
会えるのうれしいです! | お目にかかれることを嬉しく存じます。 |
早く会いたいです! | お会いできます日を心よりお待ち申し上げております。 |
「!」や顔文字などのカジュアル要素は、信頼性を損ねる原因になります。
文字だけで印象が決まるビジネスメールでは、特に注意が必要です。
まとめ——相手に好印象を与える「お会いできるのを楽しみに」の使い方
ここまで紹介してきたように、「お会いできるのを楽しみにしています」は万能な敬語表現です。
ただし、万能であるがゆえに、使う場面や相手に合わせた微調整が重要になります。
シーン | 最適な言い回し |
---|---|
ビジネスメール | お会いできますことを楽しみにしております。 |
上司・来賓への挨拶 | お目にかかれる日を心より楽しみにしております。 |
年賀状・挨拶状 | お会いできます日を心待ちにしております。 |
社内・親しい関係 | お会いするのを楽しみにしています。 |
どの表現を選ぶかで、相手に与える印象は大きく変わります。
つまり、敬語の正確さよりも「相手への思いやり」を優先することが大切です。
丁寧すぎる表現よりも、心のこもった一文こそが、相手の記憶に残る挨拶になります。
最後にまとめると、「お会いできるのを楽しみにしています」は以下のように使い分けるのが理想です。
目的 | おすすめ表現 |
---|---|
面談や商談の約束 | お会いできますことを楽しみにしております。 |
年賀状などの挨拶 | お目にかかれます日を心待ちにしております。 |
別れ際の言葉 | 再びお会いできる日を楽しみにしております。 |
丁寧な言葉づかいの中に温かみを残すことが、好印象を与える秘訣です。